昨日だか一昨日だかに、Facebookのアカウント(偽名とされるもの)が突如として削除される事件が起こった。
さて、海外で似たような事例はあるのかと、調べてみたところ、以下の三つが見つかった。
- Ville Valon kokonimikaiman Facebook-tili suljettiin ilman selityksiä
- Facebook User Banned for Using Nickname Instead of Real Name
- What's in a Facebook name?
ひとつめは、ヴィレ・ヴァロという名前のアカウントについてだが、どうやら同姓同名の方(Google翻訳ではVille the Lightと訳された)が削除されたらしい。アカウントで使用した写真は歌手の方とは関係のないものであったのにもかかわらず、だ。
ふたつめは、Jon Swiftというブロガーについて。Jon Swiftは確かに本名ではないがどうやって偽名であるかを調べたのかはよくわからないのに削除されたと書かれている。だが、後に「なりすまし」のために名乗っているのではないということから、同氏のアカウントは復活されることとなった、と書かれている。
Jon Swift氏のこの事件については、自身のブログの記事"Facebook Declares War on the Blogosphere"を参照すると良いが、Facebookの下した判断をあえて転載すると、次のようになっている。
Hi Jon, Upon further review, we have decided to reactivate your account. Our Terms of Use, to which all users agree when they first sign up for the site, stipulate that you must not "impersonate any person or entity, or falsely state or otherwise misrepresent yourself, your age or your affiliation with any person or entity." However, since others on the site seem to know you by this name, and since you don't appear to be using the name to impersonate or to hide your identity, we have determined that you are not violating these Terms. We apologize for any inconvenience this has caused. Please let me know if you have further questions or concerns. Thanks for your understanding, Jerry Customer Support Representative Facebook
ふたつめの事例をして、偽名でもアイデンティティを証明できればよいと解釈するのは、"since others on the site seem to know you by this name"の部分があってだろう。しかし、もう一つの要件である"and since you don't appear to be using the name to impersonate or to hide your identity"が満たされなければ、削除されたアカウントを復活させることは難しいだろう。すなわち、「あなたが偽名を用いるのは、なりすましや自身を隠すため」ではないのだということを。
ということは、偽名を用いる者は、どこか別の領域において名の知れているようなもの(たとえば自身のサイトやブログ)を持たねばならず、そしてその偽名があることでその者を特定する他の人達の存在があり、また偽名を用いるのはなりすましのためではない、ということが偽名でFacebookを続けるための条件であると言えよう。
この場合を私に当てはめれば、"amatanoyo"という偽名を用いるのは私以外にはいないようだし、"amatanoyo"であることを知ってブログを見る人はいるであろうし、"amatanoyo"は誰かになりすます為に用いるものではない、といえるので、合格なのだろうか。
もう一度Jon Swift氏の事件について考えてみる。
- Facebookは、Jon Swiftが偽名であると判断した。そして、通告無く削除した。
- Facebookからの連絡を受けた後、このことを知ったユーザーたちが"Let Jon Swift Back into Facebook"というグループを立ち上げ、抗議した。
- Facebookは、Jon Swift氏を再び迎え入れた。
さて、Jon Swiftという名が偽名であることは、どのように判断したのであろうか。もし、Jon Swift氏が有名でなかったのなら、あるいは有名でなくても周りが騒ぎ立てなかったらどうなっていたのだろうか。はなはだ疑問である。
また、今回日本で起こった件についても、騒ぎ立てたから、そして偽名が(広く知れ渡っていたという意味で)有名であったから、復活できた人が現にいるのではないだろうか。
どちらにせよ、事前通告なしに削除されることは避けられないであろう。なぜならば、ブログで使用している名が偽名であると判断されたら、その時点で有無を言わさず削除されるに違いないからだ。(Facebookも、一々要件を満たしているか確認しないだろう。)
もし偽名を使ってでもFacebookを利用したいのであれば、自分以外の人が自分を特定できてなりすましと思われないような個人情報(他の人と重複しないものであったほうがいいだろう)を記しておかねばならないわけだ。そんなことしてまで使いたいとは思わないし、むしろ自身の情報を正直に書き入れた方が良い。
さて、まだ紹介していない三つめの事例だが、これは「本名を入れたのに拒否された」というものである。登録を拒否されたものや、結婚して姓が変わったので変更したら拒否されたとか、様々だ。ひとつ目の事例と違うところは、有名人の名とは重複しない点である。
こうなってしまっては、一体何を信じればよいのかわからないが、ただひとつ言えることはFacebookが人間の名前にこだわりを持っているということだろう。